重練られたディティール

小説家が言葉で物語を紡いでいくように建築家は素材とディティールで空間を紡ぐ。何度も何度も描き直す。一回で決まったことなど一度もない。ただ最近はそれには意味があるように思えてきた。ボクはコンセプトから考えるタイプではない。その時に作りたいもの、浮かび上がったものを衝動的に案にしている。だから、理由を聞かれても答えられない時がある。ディティールも例外ではない。はじめは荒波の状態。その上に次の波を重ねていく。重ねられた波模様は多分に偶然性を帯びる。次第に小波から凪へと変わる。それはボクの無意識であり、感情のゆらぎでもある。最近はそれこそがボクのオリジナリティーではないかと思うようになった。