情 報

ボクがクライアントと出会うチャンスは、ほぼインターネットに限られている。ここ数年はあえて雑誌への掲載や賞取りレースやコンペの参加も避けてきた。要するに余計な情報を載せないようにしてきた。例えば雑誌は編集長の意向が如実に反映し、編集長が見せたいボクの仕事が紙面に載る。それが往々にしてどこか誇張されていたりする。賞なども審査員の価値判断がそのまま結果として出てしまう。審査員の感性や価値観がボクと近いものであればまだしも、全く違うものであればそれは弊害こそあれなんの役にも立たない。ボクらは定番商品を作る仕事ではない。情報がいくら親切で正確のように見えても、結局作るものはその都度違う。だから、紙面に載った情報や賞という権威を信頼するよりもボクら自身を信頼してもらう方が大切だ。カタログのような断片的で誰にでも共通の理解ができる情報は、偏重したクライアントを呼び寄せ育ててしまう。相互の信頼関係がなければ幸せな建築は生まれない。互いを信頼できる感性が不可欠だ。しかし、今私たちはネットに出ている情報を信じ判断することに慣れてしまっている。そんな私たちが、一世一代の家づくりの際に特定の建築家を信じ任せることはかなり高いハードルだ。だから、建築家には高い人間力が求められる。