草花のように

 

建築は「機能」や「デザイン」に関心が寄せられがちですが、実はそれを超えてもっと大切に思っていることがあります。それは僕が作るものがいつも道端に咲く草花のようなであれば良いなと思っていることです。
特に自己主張するわけでもなく、そこに存在しているだけなんだけど、見ると美しかったり、可愛かったりして、感動することがあります。そんな建築が理想です。そこにいるだけでとても良かった、と思われるものを作りたい。例えば、音楽は機能がなくても「この曲が好き」と理由もなく心を揺さぶられたりします。そんな風に建築も、楽しんで、味わってもらいたいです。
建築に「機能」や「デザイン」を求め過ぎるから、飽きてしまったり、不便になったりします。建築が持っている音楽性みたいなものがあると思います。光があるし、音があるし、匂いもあるし、色もある。また、何か雰囲気みたいなものもあります。
機能を十分に使いこなす楽しみもありますが、例えば光を楽しむ建築もあっていいと思います。もちろん役に立つことも大切ですが、建築と一緒にいることで幸せを感じて欲しいです。「この建築が好き」って言ってもらえるものを作っていきたいです。